愛は惜しみなく与う⑦

「お前、杏にしか優しくないんやな?」

昴さんはおもしろいおもしろいと、泉の背中をバシバシ叩く。


「いや…そういうわけじゃ」


うん、そうだよ。泉は無自覚なのかもしれないけど、自覚した方がいいくらい、杏以外には雑だよ。


「1番お目当てのイケメンが、あの子にしか優しくないなんて、面白くない!」

「杏ちゃんもとうとう恋愛とかしだすんかな?嫌やな〜関西の女の子ファンが泣くで」


女2人は好き放題言っている

泉は相変わらず何言ってんだ?とでも言いたげな顔をして2人を見ていた。


そして俺たちの中で1番冷静に色々考えていた新が口を開いた。



「行く前に一ついいですか?」

「あぁ、どうした?」


泉は敦子と美奈子を無視して新のそばに行く 


「鈴さんがお母様に全て話して、お母様が杏と向き合ったとします。それは凄く、素敵なことだと思うんですが…
サトルや水瀬はどうするんですか?あの2人が洗いざらい話せば、世間にも色々知られてしまう訳です。それこそ妹は東堂になんて居れなくなりませんか?
犯罪に加担していたと分かれば、それこそ東堂は…どうなるんでしょうか」
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