愛は惜しみなく与う⑦
驚いた

父親の話は全くと言っていいほど聞いていなかったから。

まさかその父親がでてくるなんて。


「お父様に、お姉ちゃんが似てる?」

「そうよ。どんどん似てきたわ。小さい頃から……あの子は…」


そう言って、母親は杏のことを話そうとしたが、うっと言葉に詰まって、苦しそうにした。


「お母様?」

「鈴ちゃん…貴方は後でゆっくり話しましょう。東堂を守りたいって気持ちだけは汲み取るわ。どうしても外せない打ち合わせがあるの。貴方は…クビよ。出て行きなさい」


妹にそう言った後、再び俺を睨んで、そのまま何処かへ行ってしまった。

とりあえず仕事はするみたいだけど。


全く話を聞く気はなさそうだった。



「全然…聞いてくれませんでした」


妹はその場にペタリと座り込んだ
必死に訴えていた姿はみたから、失敗しても責めれない。
でもまだ…まだだ


「中で何を聞いた?母親はどんな反応をしていた?」


「まず、半年前のことを話したんです。その時に…お姉ちゃんがお母様の精神安定剤になるために、私のフリをしたところから…」
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