愛は惜しみなく与う⑦
こちらでお話ししましょう。
そう言って妹は、部屋に入り、椅子を指差したから、とりあえず座る。
「あまりにも必死な私をみて、一旦全部話してみなさいと言ったので話しました。私がサトル…冬馬さんを好きで、政略結婚じゃなくて、駆け落ちをしたかったとも…
あの事件はお姉ちゃんのせいなんかじゃなくて、自分が引き起こしたことだとも、言いました。全て話したとき、一言目にお母様は言いました。
『今ここに居るのは鈴ちゃんでしょ?冬馬さんのことは忘れなさい。また新しく婚約者を見つけてくるから』と
お姉ちゃんの事には触れないんです。それでお姉ちゃんの話をしたら、急に取り乱して…」
そこから何も聞いてくれませんでした。そう妹は言った。
杏の話をすると取り乱す、か
「父親は覚えてるか?」
「いえ…全く。殆ど会った事がなくて。お母様が、東堂に嫁いでから、お父様じゃなくて、お母様が経営に回ったんです。
東堂の歴史で異例みたいで。他所から嫁いできた、しかも女が、東堂をまとめることが。
お父様は…とても自由な方としか聞いていません」
自由か
そう言って妹は、部屋に入り、椅子を指差したから、とりあえず座る。
「あまりにも必死な私をみて、一旦全部話してみなさいと言ったので話しました。私がサトル…冬馬さんを好きで、政略結婚じゃなくて、駆け落ちをしたかったとも…
あの事件はお姉ちゃんのせいなんかじゃなくて、自分が引き起こしたことだとも、言いました。全て話したとき、一言目にお母様は言いました。
『今ここに居るのは鈴ちゃんでしょ?冬馬さんのことは忘れなさい。また新しく婚約者を見つけてくるから』と
お姉ちゃんの事には触れないんです。それでお姉ちゃんの話をしたら、急に取り乱して…」
そこから何も聞いてくれませんでした。そう妹は言った。
杏の話をすると取り乱す、か
「父親は覚えてるか?」
「いえ…全く。殆ど会った事がなくて。お母様が、東堂に嫁いでから、お父様じゃなくて、お母様が経営に回ったんです。
東堂の歴史で異例みたいで。他所から嫁いできた、しかも女が、東堂をまとめることが。
お父様は…とても自由な方としか聞いていません」
自由か