愛は惜しみなく与う⑦

「待って!!置いていかんといて!」


そう叫んで辺りを見ても、誰の姿も見えなくなっていた。


虚無感

その言葉が正しい


そのままあたしは、此処がどこかも分からずに、あてもなく歩いた。

なんせこの草原に終わりが来ることはなかった。


そしてまた


人がいた



5人の男の人



またや。また頭が痛くて、脳が揺れる感じがする。


カラフルな頭のその人たちは


何かを言っている


でも聞こえへん


なんてゆうてんの?



『杏』


あん?


それはあたしの名前?なんで、自分のこともわからへんにゃろ。
杏って、あたし?



『何ボサッと突っ立ってんだよ!!お前の場所は此処じゃねーだろ?』

『置いていかないでよ。俺たち杏がいなきゃダメなんだよ』

『杏ちゃん…待ってるからね』

『貴方がいないと、みんな煩いんです。だから、早く…』


あれ?涙が出てきた

なんでやろ


服の袖で涙を拭う

でもどうしても止まってくれない



『約束…覚えてるか?俺も約束するから。絶対もう、傷つけないから。ちゃんと守るから…だから…』
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