愛は惜しみなく与う⑦
幸せな思い出しかない。
東堂という看板がなくなった自分でも、仲良くしてくれる人がいて、仲間と呼んでくれる人がいることを知れた。


そしてもっと偽って、全て自分のことを隠して、そして自分を殺して……
そのまま引っ越した関東。

誰とも関わるつもりもなく、ただ復讐のために生きた場所。
やのに、いつの間にか、大好きな場所になった。
自分を殺して、すべてを諦めて生きていたあたしに、光を見せてくれた。
真っ直ぐぶつかってくれて、みんな心に同じように傷を持って……それでも尚、あたしを、受け止めようとしてくれた。

最後まで側に、皆んながいてほしいと思った。
志木とも仲良くしてくれるレアな人達やったからな。


そして戻りたいとは思わへんけど、サトルとの出会いも、大きな出来事やった。
結果論になるけど、サトルのことがなければあたしは、妹である鈴のことを知ることができなかった。

あたしばっかり不幸やと思ってた。

どんなに近くにいる人でも、ちゃんと話さなきゃ伝わらないって事を知った。
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