愛は惜しみなく与う⑦

今思えば、それが最初の偽り。

本当のあたしはどこにいるんやろ。



『杏様は、皆んなが好きですか?』

「みんな?大好きやで。あたしに関わってくれた人達は、みんな大好きやで。ほんまに…大事」

『じゃあそれでいいじゃないですか。私も杏様が大好きですよ』


志木があたしの両手を握る


そして優しく笑った



『聞いてください。いっぱい悩んでください。頭がぐちゃぐちゃでもいいです。いっぱい悩んで、そして、杏様なりの答えを出してください。

それがもし、世間から野次を飛ばされるような内容でも、私達はずっと貴方の味方です。

貴方がどんな判断をして、どんな道を選んだとしても、私達はそれを支えて共に歩みます。


だからいっぱい悩んでください。悩んで答えが出たら……またいつものように、私達と一緒に笑ってください。

貴方が目を覚ました時、私達が貴方のそばに居ます。貴方の帰りを待ってます』



だからどうか

早めに判断して帰ってきてください。


そう意地悪そうに笑って



目の前の志木は消えた
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