愛は惜しみなく与う⑦
パッと目を開けば、あたしのことを覗き込む顔が沢山ある。
どの顔も涙でぐちゃぐちゃで



どうしたん?




「鼻水垂らすなや」


朔と響の鼻から鼻水が垂れてあたしのお腹辺りにドボドボ落ちている。

てゆうかなに?


寝てるのを覗きこまれてるん?



てか待って?



「死にそうなくらい頭と足痛いねんけど」



びっくりして一瞬わからへんかったけど、今までに感じたことないくらい身体が痛い。

何がどうなってるか説明してくれへん?そう言おうとしたけど


一斉に全員があたしに雪崩れ込むように抱きついてきた。


「っげぇ」


変な声でたやん
辞めてよ!

痛い

よく分からんけど、あたし怪我人やろ?

怪我人の上に、そんな大人数のしかかってええの?あたし死ぬで?息できてないで?


みんなを退かす力もないから大人しくされるがまま。てゆうか思うように身体が動かへんだけなんやけど。


「皆様、追い討ちをかけて、杏様が本当に死んだらどうするんです。さぁ、退きなさい」



聞き慣れた声

その声の方を見れば


あらあら


「どしたん。車椅子乗ってるやん」
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