愛は惜しみなく与う⑦
そのあと一通り診察をしてもらって、安静にしろと言われ、処方された薬を飲む。それしかもうできないけど、生きてるだけ良しとして下さいと言われた。

間違いない


生きてたら何とでもなるもんな


「彼らを中に入れますか?」

「せやな…ちょっと数人ずつ入ってきてくれな、安静にできひんわ」


森先生に志木をとりあえず呼んでもらう。ここはどこの病院やろな?
先生も優しくて良かった。

身体は動かへんし、大腿骨骨折とか、あたし当分足動かされる気がせんのやけど。



「杏様?もういいのですか?」

「あぁ、うん。安静にしろ言われたし、みんなと話すなら、順番に…」

「とりあえず無事ならいいんです。寝ますか?」

「え?みんなと話さなくてええの?」

「煩いでしょう」

「それは間違いない」


ふふ。さっきから廊下がうるさいからな。わーわー聞こえてる。


「とりあえず、泉達には、病院の隣の銭湯に行ってもらいます」

「銭湯?ええな。あたしも風呂入りたい」


汗まみれの泥まみれの灰まみれやったと思うねんけど。一応あたしの身体は綺麗や。
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