愛は惜しみなく与う⑦
「彼らはあの廃墟から戻ってから風呂にも入ってないですし寝れてもいないので…」

「あ、そーなん。そらアカンわ。銭湯つれてってあげて」

「汚い体で杏様に触って、傷口からバイキンが入ったら困るので」


傷口には、グルグルに包帯巻いてあるし大丈夫やけどな?
バイキン扱いやめたって。

そしてそのまま志木は、外にいる泉達に声をかけて少し話して戻ってくる。



「お話しできますか?」

「うん、勿論」


ちゃんと志木の方向いて話したいけど、身体は笑えるくらい動かない。
えらいことなってんな…


「お身体はどうです?」

「ただひたすらに痛い」

「そうですよね。痛み止め追加しましょう」


ずっと気絶してたんで、そんなに痛み止めが効いていないと言われた。
志木はあたしの腕につながる点滴に何やら追加で注射しようとする。


「ちょ、ええの?先生よばんで!」

「痛み止めを追加するくらい大丈夫です」

はぁ
もう好きにしてくれ
この痛みが少しでもマシになるなら、なんでもいいや。



「ではまず、改めて。目を覚ましてくれて本当によかったです。おかえりなさい」
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