愛は惜しみなく与う⑦

「慧くんはちょっと、こなれてる感あるからなぁ」

「敦子ちゃん達には負けるよ」


色気たっぷりの慧は、濡れた髪を掻き上げていた。美奈子が、あたしは誰でもいけるわと呟いたので、みんなから距離を取るように離す。

ほんと

杏様がこんな肉食にならなくてよかったです。


そしてそのみんなの後ろから

一際色気を放ちながら濡れた髪をタオルで拭いている泉が、私のそばにきました。


「杏は眠りました?」

「多分、すぐ眠ったと思います」

「じゃあ俺たち、杏が起きるまで一旦戻らせてもらっていいですか?」

「ええ、構いませんが、多分お腹空いてるみたいなんで、すぐ起きると思いますよ」


そう言うと、泉はクスリと笑った。

ええ、そうですね。
男の私から見ても、泉は色気があります。


「ねぇ、杏が好きなの?」


隣にいた美奈子は我慢できなかったのか、泉の胸筋を触るように胸に手を置く。

それに対して顔色ひとつ変えずに、美奈子の手首を優しく掴んで、自分の胸から、美奈子の手を退ける。

そして言った



「あぁ、好きだよ」


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