愛は惜しみなく与う⑦
どうしますか?
私、杏様はあげませんと、立ちはだかるべきですか!?!?

こんな笑顔で言われたら


どうぞどうぞと言うしかないじゃないですか。

美奈子は、うっ、やられた!と古典的なリアクションを取る。それを見て少し不思議そうな顔をした泉は、すぐに私に視線を移した。


「ご飯食べるときに起きそうだから、この近くで待ってます。志木さんも、無理して動き回らないようにして下さいよ」


ポンと肩に手を置いて、泉は朔さん達の元へ行った。ちゃんと私の心配までしてくれる。

美奈子達は、私の身体なんてフル無視ですからね。

さっきなんて疲れたから車椅子かわれと、やいやい言われましたから。



「ねぇ志木」

「なんです」

「あんなイケメンの、できた男、杏には勿体無いんじゃない?」

「……私の方ができるイケメンですけど?」


そう言うと、思いっきり足を踏まれた。
なんて人だ…。

泉に聞きたいことがあったのに、忘れていました。


小さめの声で話す皆さんのところへ行く。すると既に聞きたかった話になっていた。
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