愛は惜しみなく与う⑦

「お前は杏と結婚したいんか?」


ちょうど昴が泉にそんな風に聞きました。その質問にも顔色を変えず、頭をガシガシとタオルで拭き続ける泉


「どうやってそこまで話が飛躍したんですか」


「いや、杏がさ?苗字変えたいゆうてて、改名するとかゆうとってん」


「改名?芸名俺がつけてやろーか?」


横でケタケタと朔さんが笑う。ミドルネームとか、かっけえじゃん!と笑っている朔さんは、今日もお元気そうで何よりです。


「それで、結婚したら苗字変わるやろ?やし、お前と結婚したらええねんって冗談で杏にゆうててん」


なー!と昴は敦子に同意を求める。
敦子もうんうんと頷く。


「結婚か…卒業してからだな」


「な!!!」


ついつい大きな声を出してしまう。そんな私を見て泉は意地悪そうに笑った。


「冗談だ」




もう、やめてもらっていいですか?


「今度は志木が動揺してるじゃないの。」

「そーそー。杏ちゃんもなんか動揺してたし、2人ほんまに何かあるんか思ったわ」


はぁ。泉にからかわれましたね。
別にあれですよ?なんか家族的な気持ちでしてね。本当に急に嫁に行くとか言われたら、びっくりするじゃないですか!
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