愛は惜しみなく与う⑦
たまに思考を支配されそうになる。


「…俺もそう思った。だから、色んな女を求めた。お前みたいに気が強い女と居ても、何も心が動かない。可愛いと言われるやつを見ても心が動かない。俺を愛してくれる奴にさえ……心は動かない」


その時ふと、鈴や紗羅ちゃんや、水瀬の妹が、頭に浮かんだ。

サトルを好いてくれる人は、居た



隣に座ったサトルは両手をあたしの首に添えた




「これが好きって気持ちじゃないのか??お前以外なにも感じないんだ!!!何をしても何を言われても、何も感じないんだ!!俺を傷つけれるのも喜ばせれるのも、杏だけなんだ」


「…くっ」


息が…できない
サトルの腕から血が出るくらい、腕に爪を立ててるのに、一切力が弱まらへん



「苦しむお前を見て興奮するのは、おかしな事なのか?」



あっかん
意識が…飛ぶって

サトルの言葉なんて耳に入らへん。必死に首と手の間に指を入れて、引き剥がそうとするけど…

力も入らへんなってきた



「涙が出てる」


サトルの顔がそのまま近づいてくる

キモいねん近づくな!心の中では叫べたけど、声も出ない。


い、きが……
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