愛は惜しみなく与う⑦
そのハンバーグは、小さい頃から志木が作ってくれていたハンバーグ。
あたしの大好きなハンバーグ…


え?

パッと顔を上げると、みんながいた


「こいつ、何回起こしても起きなかったのに、目の前にハンバーグ置いたら起きたぞ!?食い意地やべーな!」


「朔!杏は全然食べれてないんだ。仕方ないだろ?帰ったら俺がご飯つくるからな?」


目をパチクリ
なんで病院で志木のご飯が出てくるのか。
そんなことを問いだしたら、キリないよな。
志木やもんな。

なんかしよるわな


「とりあえず食べれそうなら食べてください。キッチンを借りて作りましたので、美味しいですよ」


笑顔の志木


「さっさと元気になれよ」


コツンと朔の拳がオデコに当たる


「お前!頭に響くだろ」


そして朔は泉に鳩尾を殴られて蹲る


「杏、とりあえず腹に飯いれろ。頬もやつれてる。元気な顔じゃないと、ソワソワする奴が多いんだ。俺を含めてな。だから早く元気になって」


泉はそのまま自然とあたしの頬に優しく触れて、にこりと笑って離れた。
< 284 / 404 >

この作品をシェア

pagetop