愛は惜しみなく与う⑦
これは


強すぎるやろ


ちょっと、待って



「杏ちゃん?顔赤いけど、熱上がってきたのかな」

慧に顔を覗きこまれる。
綺麗な顔と目が合う。


やっぱり


おかしい



「ん?杏ちゃん?なになに?」


目の前の慧の顔を鷲掴みにして見る。戸惑ってキョロキョロしてる慧は、ほんまに男前で、あたしよりも色気ある。

でも違う


「響?おいで」


慧の顔から手を離して響を呼ぶ

頭の上にハテナマークを浮かべたままの響の顔も両手で鷲掴みにする。


「あ、杏?」

「今日も今日とて、響はあたしの好きな顔や」

「は?何言ってんだ?頭いてぇか?」


響はあたしのほっぺをペチペチと触る
優しいその触り方

でも違う


同じように触れられてるのに


「朔!次!」

「は?なんだよ。お前頭おかしくうげぇぇ」


とやかく言う朔を無視して、両手で朔の顔を持ってジッと目を見る。


「な!な!な!なんだてめーはこの野郎!!!」

「うぎゃ」


朔は動揺しまくりあたしの顎に張り手した。

案の定あたしは、その振動と頭の痛みに耐えかねて、ベッドにバタンキューした。

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