愛は惜しみなく与う⑦
わーわーとみんなが心配する声がする



おかしい

あたしはそれどころじゃないんだよ


「杏、あなた大丈夫ですか?」


心配そうに新も顔を覗き込んできた
ほらな。おかしい


あたしは所謂イケメンたちに囲まれてる。ようやく自覚してきたところや。

イケメンやから目を合わせたり、頬に触れられたり、優しくされたり……


それでドキドキするんやと思った。

あたしのタイプの顔してる響でさえも、温かいホワッとした優しい気持ちになるだけや。


やのに

やっぱり



「泉はおかしい」


そう最後に言い残してあたしは、再び気絶


朔がみんなにボコボコにされたのは、言うまでもない。
あたしは恋愛に当てれる脳みそがすこぶる少ないねん。

喧嘩と仲間と友達と生きることに必死で、あたしの脳みそは殆ど使用済みや。

余ってるところが少なくて

その少ない脳みそを使うには


ちょっと足りてない


そんな皆がバタバタする中

唯一勘付いた志木は複雑そうな表情を浮かべる。


『皆さま、一旦外へお願いします』


志木の声の後すぐに、部屋が静かになった
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