愛は惜しみなく与う⑦
母上はそんなん信じひん思うけど


「で、まぁ仮に鈴が全部話したとして、それで、あたしが母上に会うに繋がらん。
別に東堂に鈴は戻ってきたし、犯罪者である如月冬馬と娘が結婚することもないし…それでええやん」


なにを会って話すねん


あの時の鈴はあたしでーすってか?

もはや生まれてきてから母上とまともに会話したことないねん。
今更話せへん。

まともに返事が返ってくることなんてなかったんやから。


「せっかく美味しいご飯やのに。後味悪いわ」

はぁ
なんでこんなこと言うかな。

志木は落ち込んでいるのか、病室の床を見ていた。



「なぁ。バタバタしてしまったから、みんな呼んで。話したいし」


なんか朔に顎を張り手されて、気絶しかかったからな。今頃、朔も震えとるやろうし…

それに、母上の話は嫌や

みんなと楽しい話をして、あたしはここを去りたいんや。


「分かりました。呼んできます」


部屋をさる志木の背中は少し寂しそうやった。

でも志木のお願いでも…嫌やな
また嫌な思いを自分からしにいくのは。
もう傷つくのはごめんや。
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