愛は惜しみなく与う⑦
みんながこうやって、本気であたしに向き合ってくれて、けじめを付けてくれた。

だからやっぱりあたしも


けじめを付けなあかんか


みんなにカッコ悪いところ見せられへん。



ずっと黙って静かにしてくれていた泉達。彼らにもちゃんと言わなあかんことがある。

その前に一つ。



「志木、さっきはごめん。母上に会うよ」



逃げたらあかんか
自由やからって、逃げたらあかん。

あたしに関わる大きな事やったもんな。


嫌やけどさ。志木がわざわざ言うから何かあるんやろう。頑張るよ



「まだちょっと覚悟しきらへんけど、退院するまでには覚悟決めるから。ちゃんと話すから。ごめんな。あたしのことを思って言ってくれたのに」


「いえ、そんな。杏様がまた苦しむとわかっていながらも、もう私は何もしてあげられなくて。でも蘭様と話して欲しいです。本音をぶつけて、ムカつくなら殴ってもいいです」


「それしたら、母上くらいなら、右ストリートで開始1秒でKOできてまうわ。ちょっと時間を頂戴。ちゃんとするから」


ありがとうございます。
志木はあたしの手を握り、何か祈るように目を閉じた。
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