愛は惜しみなく与う⑦
バイバイ
---

本当に、杏が目覚めてよかった。
心臓を握り潰されるような感覚で、ただ名前を呼ぶことしかできなかったあの感じは、辛かった。

目を覚ました杏は、杏だった


さっきまで死にかけてたなんてことを思わせない普段通りの杏に、全員が胸を撫で下ろした。

よかった。本当に


見つけたとき手遅れだったのかと思ってしまったから。


そしてその後少し違和感を感じた。

なんか、杏がよそよそしい気がする。

勘違いかもしれないけどなんだろう。なんかそんな感じ。上手く言えないけどな。


外で待ってる間、みんなで銭湯にいく。俺ら汚かったからな。

5人で安心して、銭湯はちゃっとはしゃぎすぎた。俺も柄にもなく、コーヒー牛乳早のみ対決とかしてしまった。

いつもなら、しないのに。


それだけ杏が目を覚ましてくれて嬉しくて、変にテンションが上がっていた。


「お前、いつも早飲みとか参加しないから弱いのかと思ってたら、お前が勝つのかよ!」

「ん、わりぃ。お前ら雑魚すぎ」


コーヒー牛乳は勝ったから奢ってもらった。

< 299 / 404 >

この作品をシェア

pagetop