愛は惜しみなく与う⑦
あ、そうや


泉に抱きかかられるまま、左足を動かして、あるものを蹴飛ばす

ふぅ危ない危ない。サトルと話してる時から、タイミングを見計らってた。


サトルが地面に置いた拳銃

また皆んなを撃とうとするとか、ごめんやで。サトルの身体を触った時、ほかに隠し持ってる感じはしなかった。

多分やけど



「杏に触れるなよ」


吹っ飛んでいたサトルは、頭を押さえながらゆらゆらこちらへ歩いてくる。


「泉、杏様をお願いします」

「あぁ」


え、志木?
身体が宙に浮いて泉は小走りで部屋の入口へ走る。志木は?1人?


「大丈夫。みんなと待ってて」


そのまま泉は、あたしを朔達の元へおろして、サトルの方へ行ってしまう。

待って、置いていかんといて…



「おい、怪我してねーか?」

朔に頬を叩かれて、ハッとする。
朔も所々怪我をしている。あたしは怪我はしてないよ。


「杏!!大丈夫かよ」

響はあたしの顔を覗き込んで、何かを見て、悲しそうな顔をした。

そうか


首を締められた跡が残ってるんかな。そんな顔させてごめんな。
< 30 / 404 >

この作品をシェア

pagetop