愛は惜しみなく与う⑦
話すことで杏の中でケジメもつくだろう。

朔がそうだった。

逃げるように俺のところへきた朔

自分で思ってることを言えず、逃げ回ってしまった。俺もそれでいいと思って手を貸した。
でも違った


ちゃんと自分の言葉で面と向かって別れを言わない限り、一生心に残るんだ。
嫌な思い出は消えず、何度も蘇る。


ちゃんと自分で別れを告げれば、それはまた世界が変わってくる。


杏も妹のふりをして、実際、母親に別れは告げていない。杏の場合さ、母親が、死ねばよかったなんてぬかすやつだから、少し変わってくるけど……

それでもケジメになると思う。


母親が杏が死にかけてることに動揺して、仲直りするとしたら


杏はどこに行くんだろう



杏の道はどこへ伸びていくんだろう



俺の隣を選んでくれる可能性はあるなかな



「あたしは、東堂から離れたい。でもそうすると、お金とかさ。生々しい話、必要になってくる訳で。

もはやその前にさ…あたし17歳ちゃうし。泉もそうやけどさ、あたしは一回卒業してる。同じように卒業した昴達は……新しく道を見つけて進んでる」
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