愛は惜しみなく与う⑦
杏の言いたいことは分かる。
俺もふと思う時があるからだ。
俺と同い年のやつらは働いたり大学へ行ったり、もう既に社会へ出ている。
時々焦ったりもする
でもこれは俺が決めた道だから、後悔はしてない。
でも
杏は違うもんな
別に高校生をやりたかった訳じゃないもんな。妹のフリをするから、2年は自由な時間があった。その間復讐のために生きようとした2年だ。
別に学校なんて通わなくてもよかった。
現に杏は、、俺たちに出会う前は不登校だったから。
「でもな、そんなことを思っても、あたしは関東で出会った皆んなを大切にしたいねん。
全て終わったから自由になって、新しく人生を歩むとか…そんなこと出来るほど、あたしは強くなくて。
今側にいてくれる皆んなを大事にしたい。個人的に何も考えずに生きれるなら、みんなと関東戻って北蓮見を卒業したい」
杏はなんとも言えない顔で笑った。
北蓮見を卒業したいって言葉は嬉しいけど。何も考えずに生きれるなら、の話だ。
杏には……
それができるのか?