愛は惜しみなく与う⑦
「決まってるじゃん。お前が自由になるためにサトルと戦ったんだろ?お前の未来のためにやったんだ。だからお前は自由でいいじゃん。なんだよ、何も考えずに生きれるなら?今しかないだろ!!!
何も考えなくてもいいのは、今だけだろ」
朔の縋るような声
朔ならではの、ストレートな言葉だった。
俺はその言葉をぶつける勇気がない
俺も悩んだことだったから
同じ時を過ごしてるけど、俺と杏は2年ずれてる。たかが2年、されど2年だ。
学生の2年は大きいよ
ようやく偽らなくて済むのに、って思ってるんだろうな。俺みたいに留年したならまだしも杏は……特殊だ
「杏…どうしたら俺たちと来てくれるんだ?俺…杏がいないなら帰れないよ」
「響…」
今にも泣き出しそうな響をみて、杏は悲しそうな顔をした。
はぁ
ほんと、みんながみんなを思いやってるだけなのに、方向が違うと苦しいな。
「杏?何が不安要素だ?俺たちは2年多く生きてる。今は大学生にだってやりたい仕事にだって就ける。でも杏は……そこにはそんなに引っかかってないだろ?」