愛は惜しみなく与う⑦
話が進まなさそうだから、もう杏を話すように誘導するしかないよな。


「杏が年齢とか持ち出すのはおかしい。それを言い訳に使ってるように思える」


杏は嘘がうまいからな。
うまいけど、もう嘘はつかせない


「目みて話せ。俺も結構本気だぞ。返答次第じゃ俺たち何も納得しない」


必死に目をそらそうとする杏の顔を無理矢理こっちに向ける。
必死に決まってんだろ?

働くとか、大学にいくとか…そんなこと言われたら、耐えられるかよ。


せこいだろうけど、新しい環境に行って欲しくない。

大学には頭良くてかっこいい奴がいっぱいいるだろう。
働いたら、仕事できる優しい奴も、年上の男だっている。


そんな環境に杏が行ってしまったら…


俺のことなんて忘れてしまうだろ?



でも一つ言える事がある


これは自信があるんだ




「俺たちとこい。必ず笑顔でいさせるから。杏を1番守れるのは俺だ。だからよく考えて」


私情でしかないけどさ
もう俺たちには何もできないって


言わないでくれよ



視界の杏は再びブワッと涙を溢れさせて、泣いた
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