愛は惜しみなく与う⑦
全員が不安だった


杏は優しいからさ


母親ともし和解できれば


妹と母親を支えていくんじゃないのかなって思ってしまうんだ。


マイナス思考になる

でも誰1人それを口にしない。口にして仕舞えば現実になりそうだから。


待ってる


そう言うしかなかった



このまま会えなかったらどうしよう



「杏!!」


病室を出るとき、無意識に杏の名前を呼び手を伸ばした。

届かない距離


いつでも守れる距離だと思っていたのに




「泉、バイバイ」




最後に笑った杏の顔は



とても悲しそうだった



そこから記憶が曖昧だ。組の人に送ってもらって、いつの間にか用意された新幹線のチケットを持って…




俺たちは、俺たちの場所に戻った





虚無感


それを感じても



すぐに杏に会えるわけでもないのに



俺たちの、杏が現れてからの、怒涛の半年は




幕を閉じた




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『そんなに泣くなら、着いていけばいいのに』



本当にあなたは


困ったご主人様だ



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