愛は惜しみなく与う⑦
そういって久しぶりに泉が笑った。


俺たちは杏ちゃんの家にいる。
各々帰ろうとしたんだけどさ。なんかそうすると本当に杏ちゃんとお別れしたみたいな気持ちになって怖かった。

杏ちゃんがいつ戻ってきてもいいように、今までと変わらない生活をそこでしようとしている。


未練がすごい。みんなね


「テストだけ受けよ?泉だけまた2年は洒落にならないよ」

「……そうだな」


最近泉はタバコも殆ど吸わなくなったのに、屋上の泉の座る周りには大量のタバコが…

ほんと

杏ちゃんがいないと泉はダメだな



「俺らがいない間、黒蛇が動いたんだっけ?」

「今その話?帰ってきたその日にいっぱいしたでしょ?」

「わりぃ。あんまり聞いてなかった」


大事なことなのに。
俺らが関西に行ってる間に、黒蛇が仕掛けようとしてきたらしい。

でも仕掛けてこなかった。


理由は簡単



東堂組の人達がいたからだ


サトルの手が回るのを食い止めるために、こっちにも雄作さんが組の人を送ってくれていたらしい。

その人たちが変な動きをする黒蛇を制していたから、襲撃してくるまでには至らなかったらしい。
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