愛は惜しみなく与う⑦
トボトボ歩いていると携帯が鳴る


「ん?朔だ」


すぐ戻ると言ったのに電話が来る。何かあったのか?そう思い電話に出てみると、朔の焦った声がした。

なになに


「どうしたの?」

『どうしたもこうしたもねーよ!!神田が教室にきて……手紙もってきた』

「手紙?なんの?」


テスト範囲とかではなく?そう聞けば、真剣な朔の声が聞こえた


『杏からの手紙だ。学校宛に来てたらしい』



え?

杏ちゃん?


電話口から漏れた声に反応した泉が、猛ダッシュで教室まで走る。
ちょっとちょっと!


大きな背中を追う 
でも今の泉の背中は

弱々しく見えちゃうよ


すぐに教室に戻れば、神田が教壇に立って、朔達を見つめていた。

教室の中央

杏の席で


朔は悔しそうに手紙を机に叩きつけた



「くそ!あの馬鹿女」


そう言って自分の席に戻って机に突っ伏してしまった。

おそるおそる紙をのぞく




『峰岸杏 休学申請』


そこにはそう書かれていた。


休学って…

そのまま文字を読めば無期限と書かれている。


これ、は



「朝送られてきていた。何かあったのか?」
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