愛は惜しみなく与う⑦
やっと言えた
母上はここに居てもいいと言ってくれた。ここもあたしの居場所なんかもしれへんけど、もっと自分が居たい場所がある。
「鈴も心配やし、母上の身体も心配やし、東堂のこの先も心配。でも、あたしがここに残っても出来ることは少ない。今更お嬢様にはなれへんから。でも、支えていきたいとは思う。
あたしは、過去に捉われすぎてた。サトルのこともやし、この家のこともやし…。
過去のことを思い返すと、いい事はなかった。それでも、今後どうするか、前を向いてどうやってその出来事と向き合っていくかを考えたら、凄く未来が明るく見えた。
あたしもこうやって話せて嬉しい。支えるよ。あたしも、東堂の人間やから。でもあたしは、関東に行く」
勝手に関東にいった。
何も話さずに、自分のしたい事をした。
母上もあたしと話してくれへんかったけど、あたしも話さないように避けて来た。
だから話せるなら話すよ
自分の口でやりたい事を言わなきゃ、気持ちよく始めれへんから。
「ありがとう。あたしは、どこに居ても元気にやっていけるよ」
あたしは大丈夫
だからどうか
前を向いて歩いて欲しい
関わったすべての人のために
あたしも頑張るから
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