愛は惜しみなく与う⑦
「皐月はいつまでいるの?」
「そうだな…冬休みの間だからどこにいてもいいんだけどね。そうだな。杏ちゃんに…会いたいな」
佐野にはフワリと新が説明した。
そして新のストレスがピークに達したのか、佐野が冬休み初日からこっちにきた。
「もうすぐ、クリスマスになっちゃうね」
佐野は窓の外を見た
この人口密度で部屋の温度は上がり、窓ガラスは曇る。
あの朔と殴り合いをした日は、みんなが目を丸くして驚いていた。
俺たちが顔に傷を負い、目も腫れていたから。
いつもは攻撃は受けないようにしてるけど、朔とはな…避けることよりも殴り飛ばすことしか考えてなかった。
ん?八つ当たりだぞ?いいところに朔がいたから。
「なーに笑ってんだよ!黒蛇がまた動くんだぞ?」
おい!と朔に脇腹をつつかれる。
黒蛇か…なんかもう、帝王くらいまで落ちてる気がする。
楼帝もやり合わないし、平和だなぁ
と言いたいけどそうもいかない。
「凰牙は動かそうか?」
次々と問題が舞い込んでくる。
加古のいたチーム。数年前に解散させたけど…加古の後輩たちが他県のメンバーを吸収して、再び凰牙を立ち上げた。