愛は惜しみなく与う⑦
街を歩けばカップルだらけ
去年は何してたっけ
そんなことも思い出せない
杏がいない日々は、これといって思い出に残るようなこともなかった。
俺もとことん馬鹿だな
口から白い息が出る
こんな人混みは嫌いなはずなのに、杏のためにプレゼントを買うと思ったら、なんだか楽しくなる。
「総長?どうしたんすか?」
声をかけられてもひたすら無視をしていたら、聴き慣れた声がした。
「拓也?なにやってんの?」
「いや、俺のセリフです!こんな人の多い時間にどうしたんですか?」
「ちょっと買い物。お前は?」
「俺は、両親のクリスマスプレゼント を買いに来たんです」
なるほどな
拓也らしくていいな。
「総長はどこにいくんですか?」
「決めてない。ブラブラして良さそうな店に入る」
「えっと……誰のプレゼントですか?」
あ、聞いてもいいですかね?と慌てる拓也。別に隠してるつもりもないからいい。
「杏にクリスマスはサンタやってやるって言ったから…買いに来た」
誕生日にはネックレスをあげた。