愛は惜しみなく与う⑦
あれは大きな店に行って1階から順番にくるくる見て回った。恥ずかしくて二度と買わないと思ったけど、杏の喜ぶ顔を見たら、またあげたいと思ったから…
「杏さんのですか。早く帰ってきてくれるといいですね」
拓也も少し寂しそうな顔をした。
「毎日後ろからお尻を蹴られたり、足を引っ掛けられたり、背負い投げされたりと、杏さんは散々でしたけど……日課になってたんで、あれがないと、寂しいっす」
杏は拓也を気に入ってたからな。
見込みある!って意気込んでただけ
寂しいよな
「ひょっこり帰ってくるから、鍛えておけよ」
「間違い無いっす」
拓也は成長してなかったら怒られると笑っていた。
「あ、そうそう」
拓也は何かを思い出したかのように俺の後ろを見る。
ん?なんだ?
「総長気づいてないみたいですけど…後ろの10人くらい、総長のあとずっとついてきていますよ?」
「……」
振り返れば女がうじゃうじゃいた。
気づかなかった
「撒かないと」
「人ごとだと思って笑ってるだろ」
拓也はモテるって大変!と笑う
これはモテてるんじゃ無い。こいつらが暇だから俺は追いかけまわされてるんだ