愛は惜しみなく与う⑦

「女物の店にはいったら、瞬く間に噂が流れそうですね」

「はぁ、勘弁してくれよ」

また面倒になる。少し落ち着いてきたのに。とりあえず拓也に追い払わせて、走ってまたあのデカイ店に行った。


デパートなんて、1番嫌いな場所だったのに。


去り際に拓也の頭から奪った帽子をかぶる。
金髪が目立つんだ。多分な。

帽子を深く被り、ふらふらと店を回る



何をあげようかなんて考えていない


ただ何か、形で残るようにしてあげたかった。


アクセサリーしか浮かばないレパートリーのなさを恨む。だって誰かにプレゼントなんてした事がないから。

難しい

相談したいのに

志木さんとも連絡がつかない。


ほんと自由な人たちだよ


足はふらふらと、ネックレスを買った店に向かっていた。

中を覗けば……


「お!この前のイケメンの兄ちゃん!!」


あの時の店員がいた。
杏を思い出させるようなテンションの高さ。それにこの店の店員は、少し気さくすぎる


「遠野ですー!覚えてますか?」


にこりと笑いかけてきた女の店員は、この前担当してくれた人だ。そしてとてもうるさい
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