愛は惜しみなく与う⑦
杏はよく俺たちに、コーヒーゼリーを作ってくれた。俺はそのコーヒーゼリーが大好きだった。

「入ってんじゃん」


ケーキの層の中に大好きなコーヒーゼリーが隠れている。
もうな、大好きだよ

そのあと、ここがメルヘンなのも忘れて、1人黄昏ながら完食した。


うまかった


そしてもう1人のバイトがきたのか、千恵子さんは店長を連れてきてくれた。

店長と千恵子さんの写真だけって思ったけど、みんなで撮ろう。


「一瞬仕事放棄してください」


そう笑えばなんとなく分かったのか、バイト2人も集まって並んでくれた。



「あの、杏の為に今、写真撮ってるんです。よかったらどうですか?」


俺は人見知りって訳でもないが、自分から誰かに話しかけることはあんまりない。
誰かと一緒にいれば、その誰かが話してくれてたから。

だからこうやって自分から声をかけるのは少し勇気が必要だった。

おじさん2人組に、子供連れの家族


杏のことをこの3ヶ月ずっと気にかけてくれていた常連さんだ。


杏の為だと言うと喜んで参加してくれた。
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