愛は惜しみなく与う⑦
俺の頬っぺたにその女の子の指がめり込んでいた。

そしてちょうどそのタイミングを写真に撮られていた。


「にぃに、いけめん」


女の子はそういって俺の顔を撫でくりまわすかのように触り出す

…うっ…

子供は…触れ合う機会がなくて、どう反応したらいいかわからない。


「こら、美佳ちゃん、おにいちゃんの顔が変形しちゃうでしょ?こんなイケメン滅多に居ないんだから、変形させないで!」


お母さんに子供は引き剥がされて、ようやく解放された。ふぅ
助かった


「美佳ちゃん誰にも懐かないのに、泉くんには懐くのね。イケメンパワーかしら」


千恵子さんは笑った

そのあと少し常連さんと話をさせてもらって、店を後にした。

千恵子さんも店長も写真が欲しいといったから、少し大きめに印刷して、また持ってこよう。


すごいよな


もうここは、杏の居場所だよ



杏がいないこの街は、どうもつまらない。



時刻は夕方。結構長居をしてしまった。携帯がなっていたから、早く帰って来いってことだ。


歩き慣れたこの道も
歩く人は寒そうに肌を寄せ合い歩いている。
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