愛は惜しみなく与う⑦
新に、もう直ぐ帰ると連絡だけ入れて、ふらふらと歩く


自然と歩いていると、河原にたどり着いた。

杏がくる前に、昼寝スポットとしてずっと使ってた場所。
まぁ黒蛇の奴らに寝てるところをバッドで殴られて…

血出したんだっけ


懐かしいな

子供もいたから巻き込んだらダメだと思って、人の多い場所へ行った。
商店街なら大っぴらに手を出せないと思ったから。

でも想像以上に血が出たのと、足首の痛みで意識朦朧としていた。


俺を見て驚く人たち

流石に人通りが多いところはヤバいと思い裏路地に入った。


少しひんやりする、薄暗いその場所


思い返してその時の道を歩く

この路地な


普通の女なら、通ろうととさえ思わない薄暗い道。なのにそこに杏はいた



『え?血だらけやん!どないしたん!』



そう馬鹿でかい声で駆け寄ってきてくれたんだっけ。
今思えば、偶然なんだよな。俺が杏と出会えたのって。

むかつくけど黒蛇の奴らには感謝さえしてしまう。


はじめは煩い女だなって思った。
さっさとどっかいけよって…それしか思わなかったのに。
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