愛は惜しみなく与う⑦
離れて欲しくないと思ってる



自分が倒れていた場所

そこには猫が2匹まるまっていた。

寒いのか、体を寄せ合う2匹


俺をここから引きずって自分の家に連れて行ってくれた杏。
初めてだよ、女に担がれたのは。

思い出して笑ってしまう


俺はどれだけ杏から元気をもらってたんだろう。


もう杏と離れてから3ヶ月が経ってしまった。

一つ季節が変わってしまった。


思い返して1人でしみじみしていると、視界に白いものが降ってきた。



「雪、か」



杏のいない冬が始まってしまった。

さっきまで降る気配もなかったのに、雪はしとしとと降り出してきた。
こんな天気で抗争か。だるくなってきた。


雪を見ると余計寒くなった気になるのは不思議だ。


足元にいる猫がぷるぷると震えている。



「お前らは2人いるからいいじゃん」


そう言いながらも自分の巻いていたマフラーを猫を包むようにふわりと掛けた。

ぷるぷる震えていた猫は、にゃーと小さな声を上げた。まだ子猫なのかな。ちょっと動物は詳しくないからわからない。
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