愛は惜しみなく与う⑦


「あれ?動かへんの?また担いで帰ったろか?」


いじわるそうにそう笑いながら言う



こんな願いって直ぐ叶うんだっけ

これが本当なら俺、クリスマスめちゃくちゃ好きになるんだけど。



「顔、見せてよ」


後ろから俺の首に腕を回していたが、離れて下がる。


俺はしゃがんでいた身体を起こして、声の方を振り返った。




そこには、ずっと待っていた人がいた



「杏……遅い」

「ほんまやな。ごめん」


そのまま杏は助走もつけずにジャンプして、俺に飛びついてきた。

ふわりと掛かるその重みが幸せだった。



「おかえり、杏」

「ただいま、泉」



本物だ。俺の腕の中に杏がいる。もう何年も何十年も会えていないくらい苦しかった。

ずっと、待ってた


少し見ていない間に、杏の髪は伸びていた。肩くらいの長さだったのに、いまは鎖骨くらいまで伸びているように思う



「何してたん?」

「ここにきたら、杏に会える気がして」

「ふふ。ほな一緒やな」


あたしも泉に会える気がしてたよ。そう笑ってくれた。

よかった。杏が戻ってきた


いつのまにか降っていた雪も止む
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