愛は惜しみなく与う⑦
「泣いてるん?」
「かもな。嬉しくて」
「あたしも。嬉しい。ここに戻ってきて、1番初めに会えたのが、泉でよかった」
そんな可愛いこと言うなよ
ずっと我慢していた
触れたくても触れれないから
だから目の前にいる杏を、力一杯抱きしめた。もう離すつもりなんてないから。
「怪我は?どうだ?」
「あたしを誰やと思ってんの」
医者は、今後の生活に少し支障が出るかもしれないといった。それがうまく走れなかったりだとか、足の付け根が時折痛んだりとか…
骨のくっつき方とかで、変わってくると言われていた。
だから心配だった
「なんならここで、手合わせする?」
「やっと会えたのになんで手合わせしなきゃなんねーんだよ」
気が抜けるよ
杏が笑顔ならそれでいいから
「手合わせといえば…後もうちょっとで凰牙と抗争だけど。杏もくる?」
病み上がりだからダメと言いたいところだけど、杏が大丈夫って言うからさ。
目の前の杏は、途端に目がキラキラと輝いた。
抗争参加する?でそんな喜ぶのは杏だけだよ。