愛は惜しみなく与う⑦
「やるやるー!やる!もうずっと身体を本気で動かせてなくてうずうずしててん!!」

「足は?痛くない?それに頭も…激しく動いて割れたりしないよな?」

「うん!大丈夫!!向こうでキックボクシングの大会も出てん!!優勝してきた!!」


なんと
驚きすぎて反応をし損ねたよ


「凰牙ってあれやんな?加古がいたチーム。なんなん、復活したん?」


この手の話になると生き生きしだす。

ほんと、変わらないな


きゃっきゃと喜ぶ杏を抱き寄せる


おっと?
そう言って大人しく腕におさまる杏


「みんなの所いかへんの?」

「うん、もうちょっとだけこのまま」


あいつらのところに行ったら、杏を独り占めはできないから。
みんながみんな、杏を待っていたから。

だから今だけは、この時間は俺に欲しい



「もうちょっとね」


そう言って杏はオレの背中に手を回した



薄暗い路地裏


俺と杏が、出会った場所





そこに君がいた
そこに君が来た


君が強くならせてくれた
君が強くなりたいと思わせてくれた


君が手を差し伸べてくれた
君がこの手を取ってくれた
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