愛は惜しみなく与う⑦
案の定、サトルの眉間にシワが寄る


「ストーップ!話そうや。泉は志木のところへ行っといて?」

「杏、あいつはそうして欲しくないみたいだぞ」


泉を必死になだめていれば、サトルはその間もどんどん顔が怒って…
あぁ、もう
話させてよ!!


「サトル、待って」

「…お前の頼みでも聞けないなぁ」

「なんでよ!ちゃんと話してくれるって、言ってたやん!」

「こいつは、ここで殺しとかなきゃ、後で厄介だ」


は?なんで殺すになるんよ!!



「あかん!やっぱ志木連れて出て行って」

「なんでそうなる」


殴って勝っても、負けても何もかわらないねん。ましてや殺すとか意味わからん!


「鈴がいる。なにも分からずに、あたしにもサトルにも裏切られたと思って、苦しんでる鈴がいる。何も解決せずに、知るべき事を知らずに……それで終わっても意味ない」



「おいおい、鈴は関係ないだろ?」


そう聞こえた瞬間
無意識に手が出ていた


パンッと綺麗な音が鳴る


あたしの右手がサトルの右頬を叩いた
我慢が…できなかった。


泉に落ち着けゆうて、自分がこれやからな。説得力ないよな
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