愛は惜しみなく与う⑦
鈴はサトルのすぐそばに座った

まるで恋人かのような距離感に、杏様の表情が変わった。
 

「……言葉選べよ」


杏様はサトルを睨みつけてそう言う。でもサトルはそんなのお構いなしですね。

鈴がちゃんと話しをしなきゃいけないのは分かります。私もそうするべきだと思う。
バカには分からせないとダメだ。

でも伝え方は、優しくしたかった。

辛い事実を突きつけるのだから、少しくらい優しく伝えてあげないと。そう思ってました。


ただ、サトルが鈴にどう話すのか分からない。


杏様も話し合いは必須だと思っていたでしょうけど、こんな形で話し合いになるなんて思っていなかったはずです。


それに、杏様がこの話し合いをすることを、呑んだのは


鈴がある程度真実を知っている。そのことが前提で、この話しを呑んだはずです。

それならサトルの口から嫌なことを聞いても、真実を知ってるから、ある程度耐えれるから。

けど


鈴は、何も知らない



だって今もサトルを愛おしそうな目で見ているから
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