愛は惜しみなく与う⑦
そして、一度薔薇の話を聞くと、自然と耳によく入るようになった。
もしかしたら、ずっと周りで話題に上がってたのかもしれない。

存在を知らなかったから、情報として頭にも耳にも入ってこなかったのだろう。


こうやってお姉ちゃんと志木の正体を知った。

でも私はお姉ちゃんには何も言わなかった。知ってるよとも言わない。
言いたくなさそうだから、聞かなかった。

そんな日々が続いた


その頃くらいかな。お姉ちゃんの事は好きだったのに、嫉妬するようになってしまった。

今思えば、思春期反抗期、それが重なったんだろうな。


私は志木が好きで好きでたまらなかった。


お姉ちゃんは東堂家に帰ってこないけど、志木は仕事もあるから、毎日家にいる。

お姉ちゃんと外へ出る時だけ居ない。


だから、家では一緒にいることが多かった。



『どうやったら私の執事になってくれるの?』

『……天と地がひっくり返ったとしても、そうなる事はありません。私は杏様の執事なので』
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