愛は惜しみなく与う⑦
だから、水瀬はそれまでに外に出るか…なんかしてほしいな。放火や、放火
丸ごと全部燃やしてやるよ


あの奥でええの?
敦子が廊下の方を見て声をかけてきた。そうそう、もうすぐ

そう言おうと思った時


声がした



「……な…た」


え?


振り返れば、さっきまで動かなかった水瀬が動いた。

やり合おうとしてくるのかと構えてみたが違った



「すまなかった」



…え??


「引き返せなかった。愛はサトルを好きになった。それで……そうだと分かったら、究極に甘やかして、そしてサトルは徹底的に愛に暴力を振るった。分からなかったんだ。元々俺たちはおかしかったから。愛は死にたがってた。でも俺は絶望は与えてやることも、一緒に死んであげることもできなかった。

もう……何が正しいのか分からなかった」



な、にをゆうてるんや?
水瀬の言葉は頭に入ってこない。水瀬の妹はサトルを好きやった?
絶望を与えてあげれない?

なんの話……


戸惑いが隠せず何も言葉が出てこない


なんなん?
水瀬とサトルと妹さんの間で


何があったん?
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