愛は惜しみなく与う⑦
『こ、怖いね。怪我なかった?』

『うん…少し手首が痛いけど…これ私たちここで待ってるの?』


周りに誰も居ない。どうして護衛が2人とも走っていくのか。
ダメだ。なんだか嫌な予感がする

その予感は的中してしまった


『おーそこのお嬢様学校の子供じゃん。身代金とか貰えそう』


そう言いながら近づいてくる男が3人居た


『俺たち怖くないよー?だからさ、一緒に遊びに行こうよ』
『そうそう。欲しいもの買ってあげるよ?』
『ばーか。金持ちだから物では釣れないだろ』


下品な会話が繰り広げられる
恐怖で足が動かない


いつ狙われてもおかしくない立場にいることは、散々教え込まれてきた。
でも今までこれといって事件になったこともなく…護衛だって要らないと思っていた。

でも今は

莉子ちゃんと2人で震えるしかできない


『車回してこいよ』

男が1人車を取りに行った。車に連れ込まれるのは、本当に危険だ

頭では分かってるのに、動けない



『あーあー泣くなよ。これだからガキは嫌いだ』


きゃぁ!莉子ちゃんの細い腕を掴む男
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