愛は惜しみなく与う⑦
「鈴も、殺される」
「え?なんて?鈴も?どーゆうこと!」
鈴の名前を聞いてようやく声がでた。
フラフラ立ち上がった水瀬は、あたしの目をまっすぐ見て言った。
「お前たちがくる少し前、ここを鈴が通った。手遅れになる前に……行ってやれ。妹の言い分なんて聞かなくていい。馬鹿なんだよ、次女ってやつは。
大事にされてるのに気づかないんだ。側にいてくれる人が居るのに」
そう言って、うっと声をもらし、その場に嘔吐した。ちょっと、待ってよ
「み、水瀬」
「くるな!!!俺はいい…俺はもういいから。自首する。愛のことも警察に話す。お前は…まだ鈴は生きてるから…死なせるな」
なによ……水瀬に何があった?
「鈴は、少し前にここにきたんやな?」
「あぁ。サトルのところへ行った」
まさか、鈴が来てるなんて。
いや、予想はしてたけど、まさかこの仕掛けるタイミングで来るなんて。
「杏、妹は…」
「助ける。絶対死なせへん。今度こそ……絶対守ってみせる」
水瀬を最後にチラリと見てから目的地へ走る。
とても長く感じるこの廊下