愛は惜しみなく与う⑦
「凄くかっこよくてね。私は男の人に慣れてなかったから、ずっとドキドキしっぱなしだったの。あの日は…怖くてそのまま死んでやろうと思ってたけどね。サトルがずっと大丈夫だよって……汚くないよって言ってくれた」
乱暴は殴られたりもした。でも、顔や見えるところには一切、痣はできなかった。
頭が混乱しすぎて何が何か分からなかった。
そんな時に助けられたら、ヒーローだと思うじゃん。
「私ね、サトルが慰めてくれて、側にいてくれたから立ち直れたの。誰にも言えないじゃない?襲われただなんて。言えないよ…」
お姉ちゃんは、危険な目によく合っている。男の人たちが多い世界の中でお姉ちゃんは戦ってたんでしょ?
気持ちわかってくれるよね
女の子だもんね
「お姉ちゃんと話さなくなったというか、会わないようにしたの。お姉ちゃんって勘がいいでしょ?会えば何かあったってバレてしまう気がしたから。お姉ちゃんは気付くと思ったから、避けてたの」
だってね
誰も気づかなかった、中学での私の孤立も、お姉ちゃんは気付いてくれたから。