愛は惜しみなく与う⑦
まぁ、志木は刺されたくらいじゃ、死なへんな


そう泉に言われて、何か弾かれたかのように、鈴は志木の元へ走った

 
泣きじゃくって謝る鈴を、志木は苦笑いで慰める。


あぁ、そうそう 
この温かさを忘れてしまうところやった。



「泉、ありがとう。鈴のことも守ってくれるって言ってくれてありがとう」



感謝してもしきれない
なによりも居てくれるだけで、心強い。

そして本当に強いからさ



「杏?」

「ん?」

「警察に突き出すってことで良いんだよな?」


サトルの事をどうするか、ハッキリと決めてなかった。でも鈴が前を向いた今、サトルのことは逮捕するのが1番。

正直殺してやろうと思ってたけどな。あたしにそこまでの権利はない。



「うん。サトルの口から全部話させる。それを持っていけば……きっと出てこれへんやろ?」

「さぁどうだか。内部の警察の仲間とかその他諸々、全てクリアになって、ようやく捕まえれると思うけど」


そうやねんな
サトルの証言を裏付ける何か強い…証拠が必要や。

どうしたものか。あの写真や書類たちも、証拠ではあるけど、サトルがやった証拠ではない。
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