愛は惜しみなく与う⑦
悲しいことを言わせてしまった
サトルは典型的なDV体質や。殴って傷つけては愛して…それを繰り返す奴や。
鈴も……
そのまま話そうとした時、サトルの苦しそうな声が聞こえた。
目を覚ましたか
「いててて…なんだよ金髪。お前強いじゃん」
サトルは泉を見ながら、のそりと起き上がった。そしてそのままあたしを見て、あたしの後ろにいる鈴に目線を移す
「あれ、なに?気絶してる間に、仲直りでもしちゃった?」
面白くねーなー。そう笑う
サトルにとって、鈴があたしに対して抱えてた気持ちや、あたしが鈴を思う気持ちは、所詮その程度や。
面白いか、面白くないかや
ふざけやがって
「どれだけ人の心を弄んだら気が済むんや」
人の…誰かを思う気持ちを、他人にコントロールなんてされてたまるか。
「怒ってるの?かわいいね。ほんとお前、動けなくして連れて帰りたいよ」
サトルには届かへん
あたしの声は、ぜったい響かへん