愛は惜しみなく与う⑦
それでもサトルはあたしに嘘はつかないから。たとえあたしの言葉は届かなくても、嘘偽りないサトルの言葉を聞いて…
あたしはこれを終わらせる
そしてサトルは少しストレッチするように身体を動かしながら話した
「鈴からどこまで聞いた?」
「……あんたが鈴を襲って、そこまでや」
きっと鈴も気になることがいっぱいあるはずや。2人を話させたくないけど、ここで話さないと鈴は、一生後悔すると思うから。
「話す?」
1人にはさせないから。でも、後悔しないようにしてほしい。
鈴も自分の口から、言いたかった。サトルの口から聞きたかったはず。
「うん、話す」
鈴の手がスッとすり抜けていく
まだ怖いよ。居なくなってしまいそうで
「何かあれば、殴る。大丈夫」
泉はあたしにそう言う
そうやんな。守れば良いよな
話を…させてあげなあかん。
か細い後ろ姿
でもさっきよりも鈴の背中は
ピンと背筋も伸びていて、凛々しい姿
「聞きたいことがあるの」
その鈴の言葉にサトルはニヤリと笑って反応した