会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「でも?」
俺が返すと、こーちゃんがずーんと落ち込んでしまった。
あ、これ本気で落ち込んでるやつだ。こーちゃんの頭を撫でる。
「……蔦子先輩に知られたら、私呪われるかもしれません……」
見上げて来たこーちゃんは、潤んだ目で、ぐずっと鼻をすすりあげた。
あ、これ本気で悲しんでるやつだ。
……けど、確かに。
俺も脳内でうなって、現実では糸目になる。
「哀淋、こーちゃんが『湖風』の縁者だって知らないんだよね?」
「知らないはずです。話したことないですし、苗字も違いますし……」
『湖風』は五月女だったな。こーちゃんは蘭丸。
「……知られたくない?」
少し声をひそめて問えば、俺を見上げていたこーちゃんの肩がぴくりと跳ねた。
それから、ゆっくり顔を下に向ける。
「……知られたく、ない、です……」